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北欧のペット事情 - 第3回
 
ペット保険加入率世界一のスウェーデン
       

藤田りか子 (文と写真)

スウェーデンTOP

ペットへの責任感の強い国ほど、保険加入率が高い?
                 
責任感の強さは保険加入率に表れる?
   

これまでのブログで私は、スウェーデンにおける飼い主の責任感の強さ、そして独特の愛護精神について言及してきた。興味深いのは、この責任感の強さは、ペットへの保険率の高さにも表れている、ということだ。

スウェーデンに住み着いてもう15年以上になるが、当初、子犬をブリーダーから買ったときの驚きを覚えている。

日に何回、何の食事を与えるのか、予防接種のプランニング表、そして血統証書の書類などファイルにまとめてもらって手渡された。そして最後一枚の紙を指差して、ブリーダーは言った。

「保険は、ちゃんと掛けてね。これ、申し込み用紙。それからこの子は獣医さんで検査済みだけど、にもかかわらず、何か隠れた病気を持っていたら向こう3年間は私がその責任追うことになっているからね」

飼い主には飼い主の、ブリーダーにはブリーダー用の保険がある、ということだ。保険の義務(注:「義務」ではないが慣習的にほとんど義務になっている)は犬だけではない。猫を飼ったときもそうである。それも里親探しの家で猫を引き取ったときだ。
「ちゃんと保険に入ること。さもないと、うちは猫を譲渡しませんからね」

犬をペットホテルに預けたときも
「あなた、うちに預けるときはペット保険の書類、ちゃんと持ってきてね」

獣医の窓口では、
「ペット保険番号をお願いします」

一旦、登録しておけば、毎回番号を伝える必要はないそれどころか、獣医に見せる保険証なども存在しない。全て、電子的にデータで管理されている。そして保険でカバーされる部分についての手続きは、どの獣医クリニックでも行ってくれる。自己負担分だけ払っておけばいい。その病院が特定の保険会社と対応している必要はないのだ。 なんて便利な国なのだろう!

そう、スウェーデンはペット保険の国なのである。それも当たり前に犬にも猫にもそして馬にも掛けられている。掛けてないと、無責任な飼い主として白い目でみられるぐらいだ。

それもそのはず、スウェーデンにおける犬のペット保険加入率はなんと世界一だった。 2012年の統計では犬の加入率は76.5%、猫は35.6%。動物愛護大国イギリスですらペットの保険加入率は約30%。


馬もペット

病気をしなくても、犬である限り、怪我はつきもの!スウェーデンでの犬の保険が始まったのは1924年
          
世界で初めてペット保険を作ったアグリア

スウェーデンの動物保険は、今に始まったことではない。すでに100年前から存在している。スウェーデンには現在4つのメジャーな動物保険会社が存在する。一番大きいのがアグリアという保険会社。この保険会社が、世界初のペット保険を作った。スウェーデンのドッグショー、犬の競技会やホースショーにいけば、ペットフード会社と並んでたいていスポンサーとなっている。犬人口の40%がアグリアによってカバーされている。馬では30%。

会社ができたのは1890年。最初は牛と馬の保険会社として。すでにその頃で、4万頭の家畜が保険にはいっていた。その後1924年に犬や羊が保険対象に。ただしペット保険として大きく成長したのは、60年代のことだ。アグリアはその後、火災・生命保険会社「レンス・フォシェークリング」の傘下にはいり、普通の保険の一部、という存在になってゆく。

アグリアは、北欧4カ国(スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド)だけでなく、イギリスなど他のヨーロッパ諸国でもメジャーなペット保険会社になりつつある。2009年にはイギリスのケネルクラブとパートナーシップを築き、飼い主やブリーダーに対してのプロモーション活動を行っている。そして、クラフト展など、大きなドッグショーの大々的スポンサーにもなっているのは言うまでもない。

日本の動物保険の発達は最近であるが、この違いはスウェーデンにはもともと動物保険の長い歴史があったということ。もっともヨーロッパは家畜文化だから、動物保険というものが発達しやすい環境にはある。しかしスウェーデンでこれだけの保険文化ができあがっているというのは、他の国ですら例をみない。おそらく福祉国家になるべき、人々の倫理的意識、そしてペットへの責任感がもともと国民的レベルで広く浸透しているからなのだろう。

       

馬もペット

北欧のたいていの大きなドッグショー、そしてイギリスのクラフト展でも、アグリアはスポンサーとして大きく活躍している